第10回ベーゼンドルファーのおはなし

第10回  ウィーンの工場に行ってきました vol.3 (金属フレーム・組み立て)

(文:川口成彦)

(文:川口成彦)

  「ベーゼンドルファーのおはなし」 がついに第10回目を迎えました。おはなしに耳を(目を)傾けて下さっている皆さまありがとうございます!今回もウィーンの工場でのピアノ製造の様子をお伝えいたします。  

【金属フレーム】

  前回記事にしたようにピアノの材料になる木材の乾燥や加工はそれはそれは丁寧に行われていましたが、ピアノの中に入れられる金属フレームを扱うセクションもとても興味深かったです。

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 オーストリア国内の他の工場で作られたフレームが、このベーゼンドルファーの工場に運ばれてまず木材と同じように天然乾燥が行われます。わざと錆びつかせること、鉄を引き締めるそうです。乾燥は5ヶ月に渡って行われます。そして天然乾燥を終えたフレームはピアノ工場内でまた色々と手が加えられます。組み立ての際に必要とされる穴はコンピューターロボットを使ってあけられます。ざらざらとした鉄のフレームを滑らかにする作業は人の手によって行われます。「塗料を塗る→手で磨く」の作業を5回繰り返すそうです。

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 さて前回ピアノの材料となる木材についておはなししましたが、今回はそれが組み立てられて「ピアノ」になっていく様子を見ていきましょう。

【さまざまな部品】

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  6年の乾燥を経た木材は工場内で色々なパーツへと加工されていきます。一つ目の写真はピアノの足ですね。二枚目は足と本体を接続する部分のパーツと思われます。パーツの製造の雰囲気は三枚目の写真のような感じです。それぞれのパーツをそれぞれの職人が手作業で作っていきます。たとえば職人さんが病気になったりして人員が欠けてしまうことも考えられるので、工場内のそれぞれのセクションを担当する職人はセクションごとに複数いるそうです。ちなみに職人たちの工場の勤務は朝6時から午後2時だそう。随分と朝早くから工場が稼働していることにとても驚きました。

【側板(がわいた)を作るための切込み】

 ピアノのパーツ作りの中でもとりわけ印象に強かったものは、楽器本体の枠組みにあたる側板を曲げるために行われている仕掛けでした。木を曲げる方法は「木に水分を含ませて圧力をかけて曲げるやり方」や、「加熱して曲げるやり方」 などがあると思われますが、ベーゼンドルファーの側板は「木に切り込みを入れてソフトに曲げて、その後に隙間に木を入れて接着する」 といった方法で曲げられていました。なんだか言葉で説明するのが難しいのですが、下の写真でなんとなくお分かり頂けるでしょうか。

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 一枚目の写真のように切り込みを入れ曲げられた後に、二枚目の写真のように隙間を埋めて木に強い負荷をかけることなくしなやかな曲線を作り出します。現在多くのメーカーがピアノの外装ケースにおいてカエデなど比較的硬い木材を使っているそうなのですが、ベーゼンドルファーは響板と同じスプルースを外装にも用いています。ちなみにスプルースはヴァイオリンなど弦楽器においても用いられる木材です。

【組み立て】

 さて工場の中で職人たちによって作られたピアノのパーツは組み立てられて「ピアノ」へと姿を変えていきます。

 ご紹介できていないパーツもたくさんありますが、下の写真を見るとピアノが本当にたくさんの部品から出来ているのだなと分かると思います。楽器本体の強度を確保するための独自の支柱構造も注目です。組み立てられたピアノ本体の内部には響板そして金属フレームが入れられます。

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 やっとピアノらしくなってきましたが、まだ完成まではいろいろなドラマがありそうです。

続きは次回!

【ウィーン国立歌劇場で使用されていたベーゼンドルファー】

 今回は最後に東京は中野坂上にあるベーゼンドルファー東京にある1909年製の貴重な楽器Model 250をご紹介します。こちらは2014年にウィーン国立歌劇場から東京に渡ってきたピアノです。Model 250は今日では製造されていないタイプの楽器です。何度か演奏させていただきましたが、素晴らしい楽器で至福のひと時でした。ベーゼンドルファー東京は頻繁にサロンコンサートを行っていまして、素晴らしい楽器に巡り合える貴重な場所です。またこの楽器を使用した初めてのCDが今年日本でリリースされました。ピアニスト實川風さんのデビューCDにてベートーヴェンの「ワルトシュタイン」やシューマンの「アラベスク」を聴くことができます。

それでは。

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